ロータリー財団奨学生報告書

最終報告書
2000〜2001年度ロータリー財団奨学生 伊藤法子(美原RC)

●授与された学位
 1年間の予定で留学しましたが、勉強しているうちに英国で実地の経験を積みたいという気持ちが高まったため、途中でNational Certi-ficate in Horticulture(1年間)のコースから、National Diploma in Horticulture(2年間)のコースに移りました。1年間の勉強は終了したため、National Certificate in Horticultureは既に投与されておりますが、同封の成績表は、National Diploma in Horticulture 用です。現在、ケンブリッジ大学の植物園で研修をしておりますが、それはDiplomaコースの一環です。

●研究、研修にふさわしい教育機関であったか
 Writtle Collegeは海外留学生の受け入れ体制がしっかりしていた為、留学前に予想していた通りの勉強をすることができました。1週間に一回、無料で英会話の授業を受けることもできましたし、海外留学生の集まりも頻繁にありましたので、私生活においてもかなり国際交流ができたと思います。
 コースについては、園芸学の基本を勉強したかった為、実技中心のコースを選んだわけですが、期待どおり、かなり広い範囲に渡って、イギリス流の園芸学を勉強することができ満足しております。学校の先生やクラスメイトの中には、日本に興味を持っている人もかなりいましたので、授業中に日本の文化や庭園を紹介できる機会もありました。

●奨学金は十分な金額であったか
 総額、£11.191の奨学金を支給していただきましたが、最終的に過不足ありませんでした。学校が始まった頃は何かと揃えるものが多く、出費が重なりましたが、支給がちょうどよく分配されていたので(第1回目:£8.153、第2回目:£3.038)不自由なく生活することができました。学費が比較的高くなかったため、奨学金の額は十分だと思ったのですが、専攻した科目のせいか、課題にかかる費用が予想以上だったため(写真代など)、予備の費用をそれに充て、最終的に過不足なく、奨学生としての勉強を終えることができました。ありがとうございました。
●宿舎・食事の手配
 勉強するのには環境が大切だと思いましたので、学校の寮を早目に申し込みました。週末以外は食事もついておりましたし、寮だと友人も出来やすかったので、快適で社交的な学生生活を送ることができたと思います。

●自分の語学力で親善使節としての役割に効果を上げることができたか
 スピーチでは聴講してくださる方に少しでも興味を持っていただけるように、Visual Aids(スライド、OHPなど)を使うなど、自分なりに工夫して臨みました。地元のロータリークラブについてはもちろんのこと、日本について、また日本庭園についても触れるように努めました。早く話すことよりもゆっくり大きな声でしっかりと自分の言いたいことを伝えることの方が大切だと思いましたので、スピーチの前には毎回、原稿を作り、自分で納得がいくまで練習をしてから臨みました。どのクラブでも、ロータリアンのみなさんは真剣に聞いてくださいましたので、落ちついてスピーチをすることができたと思います。自分の語学力で親善使節としての役割を果たすことができたと信じております。また、回を重ねることにその成果を上げることができたように思います。

●留学国の人々の対応
 イギリス人の外国人に対する対応は、全体的に見て、かなり親切だと思います。特にロンドンは、移民や留学生がたくさんいるため、差別のようなものも受けた記憶もまったくありません。島国であるところ、深い歴史を持っているところなど、イギリスには日本との共通点がかなりあるように思います。

●顧問ロータリアンから受けた指導、援助
 顧問ロータリアンのWilliamは会う度にいつも、「Where does Japan belong?」と聞いてきました。彼の答えは「The world」でした。世界はひとつということを私に伝えたかったようです。彼自身もフランス語を勉強していて、国際交流にかなり興味があるようでした。ミーティングに出席した際は、まず二人で自己紹介をするのですが、彼の提案したやり方がとてもユニークでした。
 彼が日本語を話し(あらかじめ彼が英語で書いたものを私が日本語に訳し、ローマ字にして、彼が読めるようにする)それを私が英語で通訳するのです。スピーチの前にロータリアンの方の興味を引くことができたので、その後、落ちついてスピーチできました。彼は私の前にも2人の日本人の留学生を受け入れていたようで、ベテランという感じでした。

●出席したロータリークラブの例会、地区大会、協議会など
 1240地区ロータリークラブを回りましたが、それぞれのクラブにそれぞれのカラーがあり、時には、他の奨学生と同時に招待され、そこでメールのアドレスを交換するなど、交流を広げることができました。私の通っていた学校のある、Chelmsfordのクラブを訪れたときには、スピーチの後、「すぐ近くに住んでいるから。」と夕食に招待してくださった方もありました。どこのクラブでも、いつもあたたかく迎えいれていただき、本当に有りがたかったです。

●参加した市民活動、専門職務活動、社会活動
 機会なし。

●留学以外に訪れた国
 ロータリー指定の語学学校で知り合った、イタリア人の友達を昨年のクリスマスに訪れました。彼女は慈善活動に熱心で、身体障害者の方と一緒に山に登るツアーに私を連れて行ってくれました(後述参照)

●ラジオやテレビに出演したり、新聞、雑誌等に載ったりしたことがあるか
 機会なし。

●奨学金期間中に参加した社会奉仕活動
 前述したイタリアでのボランティア活動ー3泊4日で身障者の方と山小屋で過ごし、スキーやゲームを楽しみました。イタリア人の何に対しても情熱的な姿に感動いたしました。また、身障者の方々も、ダンスを楽しんだりするなど、とても積極的で、彼らから学ぶこともいろいろとあり、貴重な経験をさせていただいたと思っております。

●奨学生として、ホスト国、ホストロータリークラブおよび地区に与えた影響
 日本人の留学生はかなりたくさんいますが、ホストクラブの方に園芸学を勉強している人は私が初めてだと言われたので、スピーチにも日本庭園や日本の植物(桜やあじさい)を盛り込み、少しでも日本のことを理解してもらえるように努めました。現在研修生として働いているケンブリッジ大学の植物園の面接に行ったときにも、履歴書にロータリーの奨学生であることを書いたため、どのような活動をしているのか聞かれ、その点をかわれたという印象を受けました。

●帰国後、親善使節としての体験をテーマに行った講演
 1年の予定で留学しましたが、途中で滞在を延ばしたため、夏休みに一時帰国はしたものの、ほんの2週間ばかりの帰省となってしまったため、残念ながらスピーチのチャンスはありませんでした。しかし、地元のロータリークラブを訪れた際、次に帰国した際にスピーチをして欲しいと言っていただいたので、その機会を楽しみにしております。

●今後の抱負(ロータリー財団と国際ロータリーの推進にどう寄与するつもりか)
 ロータリークラブのおかげで本当に意義のある留学をさせていただくことができました。個人的に留学したのでは味わえない、貴重な経験もたくさんさせていただくことができました。この勉強したことを生かし、将来少しでも世の中のため、そしてロータリークラブのために、何らかの形で、ご恩返しできたらと思っております。

●奨学金プログラムについての所見、提案
 応募してから、実際に留学するまで、かなり時間がかかるので、初めは間延びしてしまうのではないかと思っておりましたが、すべて自分で手続きをする上、報告が義務付けられているため、個人的に留学している以上に、プロセスから学ぶことがあったと思います。また、社会人になっても応募できる点が有りがたかったです。こちらで知り合った、留学生数人にロータリーの奨学金について聞かれ、クラブのホームページのアドレスを渡しました。
 ただ、カウンセラーが決まる時期がかなりおそかったので、準備の段階で少し不安がありました。

●将来の奨学金受領者への提案
 同期の留学生とはメーリングリストによって、連絡を取り合うことができました。そこで、それぞれが抱えている問題をみんなで話しあったり、個人的にメールでやり取りしあったり、各地で格闘している友人の意見が支えになったり、新たな視点を授かったり、情報交換のありがたさを実感いたしました。出発前に幹事を決め、連絡が取れる環境を作っていく事をお勧めします。

イギリスの研修先で見つけた“Rotary Club”
現在、研修生として働いている、英国ケンブリッジ大学植物園の一角に、匂いのある植物ばかりを集めた The Scented Gardensというところがあります。そこに地元のロータリークラブからクラブ成立50周年を記念して寄贈された小屋があり、植物園を訪れる人の憩いの場になっているようです。ロータリークラブの奨学生として留学し、その延長の研修先でこうして、クラブに関係するものに出会ったことを大変嬉しく思いましたので、ご報告させていただきます。奨学生であったことへの感謝と誇りを忘れず、この研修先で、園芸に限らず、英国の文化や歴史も身につけて帰国できたらと思っております。

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