パネルディスカッション

中山さん)
 林さんからイラクの問題を中心にこれからどう動いていくかと、いう外務省としての考えかたをご説明いただき、そしてアラブ地域全体をどのようにこれからやっていくのか、最終的にはやはりイスラエルとパレスチナの問題を解決しないとこの中東問題の解決はなかなか難しいというご指摘でございました。このイスラエルとパレスチナの問題は、結局アメリカのNY貿易センタービルの攻撃を背景にビンラディンが言ったこのユダヤ人社会とイスラエルとの関係、ご案内のようにイスラエルの国会議員の選挙はアメリカのユダヤ人協会のお金持ちが仕切っておると、絶えずいわれておるわけです。いままでアメリカが仲介したイスラエルとパレスチナの仲介の会議が2度ばかり行われました。マドリードとキャンプデービットで行われましたけれど、不成功で終わっております。その点どういう風な経過をたどるか、短くて結構ですから案があったらおっしゃって下さい。

 

(林さん)
 私の個人的な感じでありますけれど一言で申しまして、やはり役者が変わらないとシナリオも変わっていかないかということです。アメリカがいま何をしようかといいますと、新しく選出されたパレスチナの首相を中心にイスラエルとの交渉を再開しておるところですけれど、片やもう1人イスラエル側にも退場すべき役者がございまして、やはりイスラエルのシャロン首相もやはり退場していかざるを得ないんじゃないかと、ここはちょっと苦しいけれど我慢のしどころじゃないかなと、役者が変わったときにもう1つ新しくなんか動かしていくということが現実じゃないかなと、その間どうやって爆発しないように抑えこんでいくか、これはここ数年の中東政策ではないかと思います。

 

(中山さん)
 主役が変わればドラマも変わると。こういうことかと思います。

次は保住さんに石油消費を止めるために新エネルギーの開発に力を入れていくということですけれども、新エネルギーは太陽光発電とか潮力発電とか色々ありますけれども、それの貢献度は非常に低いというのが一般の見通し、そこで原子力の利用は変わらない。しかし問題はその使用済み核燃料の処理がどうできるかというのが一番大きな日本の課題でありますが、これがなかなかうまくいってないですね。それでアジアで一番使用済み核燃料をたくさんもっているのが日本であります。だから日本の技術力を持ってすれば、いつでも核弾頭ができるような能力が日本にあるわけですけれど、それは国の政策としてやらないということなのですが、使用済み核燃料をどうしてこれから処理していくのか、何かお考えがあるのならば、話していただけたらありがたいです。

 

(保住さん)
 一番難しい質問になりましたが、原子力というのは、必要性についてはですね今申し上げたように説明できるのですが、いま東電事件とかありますけれども信頼感とか安心感とかこれをいかに地元を始めとする国民の皆様から獲得するか、あるいは回復するか最大に問題になっております。これは日本だけじゃなくある意味ドイツ始めアメリカ始め国際的な問題だと思っています。その中で現実として35%、48%とか、電気の大部分を原子力に依存している現実もございます。やはり最大のボトルネックといわれているのは、新しい技術であるということで使用済み核燃料というのは出てくるんでありますが、これをアメリカの様に保管するといっていますけれども、樽とかプールみたいな所に入れておいといて最終的にはユッカマウンテンという所に岩盤の中に入れておいておくというやり方と、フランスとかイギリスとか日本もそうですけれど再処理ということで使用済み核燃料は濡れた薪みたいな物でして、そこからさらにウランとかプルトニウムとか抽出することが出来ます。それで使用する倍率がかなり高まりまして自給率が高まるというメリットがあるのですね。いかんせん日本の場合はコストが高いということが1つと、いま青森の六ヶ所で再処理工場を作っていまして、5月から始めるのですが、来年から本格的な稼動になるのですけれど、再処理路線というのを取っておりまして、これも仮に再処理が順調通りにいったとしても出てくるプルトニウムをどう使うかということで、プルトニウムと普通のウランを混ぜまして(モックス燃料と言っていますが)、それを普通の軽水炉で使うというのが海外では一般的な技術なのですが、20年前から取り組んでいるのですけれどなかなか地元始めとする皆さまのご理解が得られないということで、六ヶ所を動かしてもそこから出てくるプルトニウムを作ったモックス燃料を燃やせるような見通しが立っていないという所で議論が止まっています。もう1つは、その再処理から出てくる高レベルの廃棄物がございまして、これは最終的な究極的なゴミですね。ゴミ焼却場は迷惑施設ですけれども、究極の迷惑施設と言われている所でして、これは2年前に法律を作りまして、手続きは定めましたので、今後申請を受けるとかそういう手続きをすることになっていますが、アメリカの例を見ていますと、ユッカマウンテンの例なんか見ていますと、地元が反対したのをアメリカの会員がそれをオーバーライドする。それは国家としてやらなきゃいかんというような意思表示をして推進をしているという例もございますので、原子力政策は、究極的には国民の皆さんの理解を得てやらなければいけないわけですが、大前提ではありますが、エネルギー政策というのは究極的には国家政策というのもありますので、その調整をいかに進めるかというのを中山先生はじめ、政治がリードをしていっていただいてエネルギー政策を共に皆さまと考えていくしか道はないと思っております。

(中山さん)
 最後に梶原さん、観光産業をこれから興すべきだと、これは非常に大きな仕事だと、関空を控えたこの近畿一円に古い遺跡もあれば、名所・旧跡もあると、それについて我々の間でもガイドの案内を英語、あるいは韓国語、ハングル、中国語、そういう風な外国人が1人で地域の名所・旧跡を訪ねたり、ホームステイできるような仕掛けをするために、国土交通省もずいぶんご苦労頂いていると思いますが、まだまだ目に見えてこない。それを一つこれからおやり頂くだろうと思いますけれど、近畿の局長として1つ抱負をお述べ頂いて最終の美を飾って頂きたいと思います。

 

(梶原さん)
 先生からご指摘いただいた点、非常に大事なことだと思っております。日本にこられる外国の方も当初は団体で動かれたりとかされるわけですが、23回と日本に来られると1人で色々出歩きたい、場合によってはレンタカーを借りて動きたいという方も増えてくるわけでございますけれど、外国の方のそういう観光のパターンもだんだん変わってくということも念頭におきながら、案内表示を含めてしっかりやっていかないといけないという風にも思っているところでございます。又先生にもご指導頂きたいと思っております。宜しくお願い致します。

 

 (中山さん)
 大変分かりやすいパネラーとしてのお話いただきまして、今日の会を盛り上げて頂いたことをコーディネーターとして厚くお礼を申し上げたいと思います。

 いま一度3人の方に拍手を頂いてこの会を終了させたいと思います。有難うございました。