【パネルディスカッション】

コーディネーター 中山 太郎

 今日はパネリストの皆様ありがとうございます。115分の時間でお考えをお述べ頂いて、あと質疑応答の方に移らしてもらいます。よろしくお願い致します。では林さんからお願い致します。

林 克好 外務省中東第二課地域調査官

 

只今ご紹介に預かりました、外務省中東第二課の林でございます。大臣の基調講演にございましたエネルギー供給源となっております中東地域を担当いたしているのが私どもでの課でございます。私は我国にとって、エネルギー供給源である中東というのが、いまどういう風になっているのか、皆さまご案内のように、アメリカの対イラク攻撃を受けまして、中東はいまイラクを中心に動いている、そういった点を簡単にお話したいと思います。

まず、先ほどの基調講演にもございました様に、我国は中東から88%の原油を輸入しております。世界の原油の65%がこの中東にあります。かつ我国は天然ガスも中東から輸入しておりまして、21%を中東から輸入しているということでありまして、エネルギーの安全保障の観点から、中東というのは我国にとって大変重要な地域になっているということでございます。プラス我国のみならず、アメリカなども対中東原油依存を減らしている中でも、これは2001年の数字ですが、やはりアメリカも28%、フランスも29%、イタリアも35%を中東の原油に依存しているという状況はいまだ続いております。そうした事もありまして、我国のみならず欧米諸国にとっても、中東の安全・安定は大変重要な問題になっております。イラクのフセイン政権崩壊後の中東の行方をどういう風に見ていったらいいか、毎日これから新聞を見るわけですけれど、どういった点から見ていったら良いかという点をお話したいと思います。私は3つの点から今後のイラクの行方というのを見るべきだと思います。まず第1に安定したイラクをイラクの人々の意思・気持ちを反映した形で再建できるかということ、これがまず第1点でございまして、第2点目にアラブの国々、イラクのみならず周りのアラブの国々がイラクの状況を見ながら自分達の社会改革・政治改革を自らの力で進められるという点が第2点、これはアメリカ流に言えば民主化の点でございます。第3点は、これはイスラエルとパレスチナのこの問題を解決に向けて進められるか。この3つの点が今後中東の行方を大きく左右する要因であると思います。

それでは現在のイラク情勢について触れたいと思いますが、一言でいってイラク情勢・状況は見通しできません。というのは未だに色んな事が流動的に動いていまして、何がどうなっていくのか分からない状況でございます。まずアメリカがしようとしているシナリオ的なものをお話しますと、まず第1にいまイラク各地でイラクの人達・イラクの中に住んでいた人達、あるいは外から帰ってきた人達が一緒になって、自分達の国をどうやって造っていこうかという会議をしております。415日に第一回会議がイラクの南部で行われまして、たしか明日バクダット行われると聞いております。ちなみに428日というのはフセイン大統領の誕生日なのですけど、果たして66回目の誕生日を彼は生きて迎えているのか、あるいは死んで迎えているのか、これは誰にも分からない状況でございます。まずそういった会議を行ってその中から暫定的にイラクを統一する組織を作ろうということをアメリカがやろうとしています。今朝のNHKのニュースですと、アメリカはこの組織作りをたしか来月末までに済ませるといった情報がございますので、まずこれがステップ2でございます。その後に暫定統治の組織を作った後にですね、新しい憲法を作って、その憲法に基づいて、選挙を行って正式な政権を作っていこうというのが、一応のシナリオだといわれております。ただ、それがタイムリミット、いつまでに何をやってということは何も決まっておりませんし、誰が何の役割を担っていくかというのも全く見えてない。つまり、いまイラクの中でどのような政治勢力がイラクの統治の中心になっていくのかは全く不透明な状況というわけです。ただ、イラクが安定化していくのか、不安定化していくのか、これは中東全体に非常に影響及ぼすという事で、周辺諸国も注視しているところでありますが、もし仮にイラクが非常に民主的なといいますか、イラクの人々の意思を反映するような形の国造りを成功して、それがうまく動いていくならば、これは中東に1つの大きな変革をもたらす可能性もあるという点は、我々もフォローしていく上でちょっと興味深く見ていく必要があると思います。イラクの安定の為にどういうことをアメリカとかイギリスがする必要があると言いますと、これは2点あると思います。1つは、いまアメリカやイギリスがやろうとしている事に対する、イラク国民の信頼感を高めるということ、つまりその背景にはイラク国民の間にはアメリカとかイギリス、ヨーロッパに対する不信感がございます。なぜならば、イラクという国そのものが作られたのは第1次世界大戦が終わった後に、オスマントルコという大きな帝国が潰れて、その後イギリスが自分の想う王様を連れてきて作ったのがイラクという国の始まりであって、自分達は支配されてきたというそういった猜疑心というのが未だに強く残っているというのが背景にございます。第一に信頼感を高めるということ。第2点目にそうしたイラクの人々の疑いといいますか、疑念を晴らすという思索が必要であります。では、具体的にどうしすればいいかといいますと、具体的に私なりに考えますのに、4点が必要かと思います。まず第一点に、一番初めにしなければいけないのは、正常な市民生活を早期にしなければならないと。これが第一点。これをまずアメリカとイギリスはやる必要があろうかと思います。そして第2点目に、イラクの人々による統治の確立の手順というものをどんどん進めていくということ。この1と2を同時成功的に出来るだけ早く進めるということ。第3点として、イラクの安定化の手順について、周りのアラブの国々からも支持を得ていくということ。これはイラクの人々の手順に対する信頼感を高めるという上で非常に重要な点だろうと思います。ただこれは非常に難しい側面を含んでおります。第4点目に、いわゆるいまイラクに入っているアメリカとかイギリスとかの軍隊が出来るだけ早く少しずつ数を少なくしていくということが出来れば、イラクの人達のアメリカ・イギリスに対する信頼感が高まっていくのではないのではと思います。

イラクというのは非常に市場としても経済的にしても有望な国であると思います。1つは、石油資源によくいわれていますように、世界の石油資源の埋蔵量で言えば、サウジアラビアについて2番目ということでございます。石油があること、次に水があること、ユーフラテス川・チグリス川という水があること、3番目に非常に有能な人材がございます。これに加えて古い歴史があること。中東のアラブ諸国見回した場合、石油資源と水と人材この3つを持っている国は他にございません。そこに長い歴史、更には仮に民主化に成功して自由な社会を手に入れたとすれば、5つの要素を兼ね備えた世界というのは中東諸国でイラク以外にはないという状況が生まれるわけでございまして、日本の各企業も70年代〜70年代特に後半〜80年代始めにかけて色んなプロジェクトをやりました。ある企業はバグッダトの事務所が世界で1・2を争う位の大きさという仕事をされたんでございますが、イラクが今後うまく自分達の国造りに成功していけば、必ずやそうした有望な市場として出現してくるわけでございます。ただ、問題点というのがいくつもございまして、やはりいま国造りを始めようとしているわけでございまして、誰をリーダーにしていいかわからない。まさにアメリカ自身が手探りしてやっている状況でございます。アメリカの中には国外に住んでいたある人物をリーダーに据えてそのイラクの国造りを進めようという考えもあるようですけれど、果たして4050年国を離れていた人達が、イラクの国に戻ってどの程度信頼を得ていくというのが非常に疑問でございますし、今後イラクの再建を進める上でどういったリーダーを見つけていくかというのはアメリカとしても非常に難しいところだと思います。ただ、イラクがもし普通の自由な国に、自由市場の自由市場経済を動かしていくような普通の国になっていけば、資源がある、人材があるということで大変経済発展していく国だと思います。仮にそうした状況が現れた場合、周りの中東諸国に対して色んな刺激を与える。その刺激が良い方向に現れるのか、悪い方向に現れるのか、それは2つの見方があるわけですけれど、今後注目する点だと思います。どういう意味でその刺激を与えるのかといいますと、周りの国を見ました場合、石油がたくさん出る国というのはアラブの王様が支配している国が多いわけであります。その国におきましては、国の重要なことはごく一部の人達が決めていっているわけでして、そのいったい誰が決めているのか分からない。人々の選挙によって選ばれた議会をも持っている国もクエートとオマーンとバーレーンという3つしかない。石油をたくさん生産しているサウジアラビアにとっては選挙に選ばれた議会が存在しないという状況がございます。もう1つは、先ほど日本の問題で取り上げられました、人口問題というのがございまして、特にはサウジアラビアの場合には人口増加によって1人当たりの国民所得が20年前に比べて半分になっているということ、いま8000ドルに落ちてきているということで、社会福祉的な処置がだんだんと出来なくなってきている、そうした状況にもございまして、国内の若干の不満も出てきているというのが湾岸の王制の国でございます。したがいまして、イラクの人達が人々の意思によって国造りを始めた場合、どうして自分達も出来ないのかという疑問が国の中で起こってきまして、それが1つの政治的なうねりとして出てくる可能性があるかと思います。ただ逆に言えば、これにうまく対処するによって、より強い国民の意思を組上げるような、より強い組織作りも政権を担う人達にはできることで、こうした動きをうまく察知した中から自分達の力で国を変えていけば、更に強い社会にサウジアラビアとかクエートのような国になっていく可能性も含んでおります。アラブの国と申しますと王制国の他に共和制の国つまり大統領を頂いている国というのがございます。ただ、エジプトのような国を見ますと、たった50年間の内に3人しか大統領がでていないという、単純に計算しても、115年以上というそうした長期政権だと、大統領の信任投票をしても90%以上がYESと出るとかですね、議会も確かに国民によって選ばれた議会はあるのですけれど、政府が決めたことを常に賛成していく議会にしか過ぎないということで、エジプト・シリアのような国には非常に国民の間で政治に対する不満というのが強く存在します。したがいまして、イラクの民主化、いまアメリカ流に言えば民主化ですけれど、民主化が成功した場合、当然シリアとかエジプトの人々、特に大学生とか若者の間でその自分達の政治改革、あるいは社会改革といったことに目が向いていくことは当然なことでありまして、これもうまく政治がマネージしていけば今よりも、より人々の意思が反映された政治経済対策を自主できるということで、これも良い方向にでるのか、悪い方向に出るのかいまのところ見通しが付かないという状況でございます。ただ、1ついえることはイラクがアメリカという外部の力で動こうとしている。これが仮に良い方向に動いた場合、その結果は必ずや周りの国に対して影響を及ぼす。うまくいけばそれは良い方向にアラブの国自体が、より開放的な社会に、より自由市場経済に進んでいくという可能性が包含されておりまして、イラク問題というのはイラクのみならず、中東地域全体を大きく変えていく可能性がございます。

最後の簡単に問題としてお触れしたいのは、イスラエルとパレスチナの問題です。イスラエルとパレスチナの問題を何故解決しなければいけないかと申しますと、やはりイスラエルとパレスチナ、パレスチナ側にはアラブが付いていて、イスラエルの背後にはアメリカが付いています。アラブの人達の目からすると、やはりアメリカというのは常にイスラエルの見方をしている様に映るわけですね。だからそうした政策を片や一方で取りながら、一方でイラクの民主化といわれても、何となく信用できないという気持ちが、やはりアラブの人達の心の中にあるわけなのです。したがいまして、アメリカがイラク問題をうまく進めていく為にも、つまり自らのアメリカの政策に対する信頼を勝ち取るわけにも、中東和平イスラエルとパレスチナの問題というのも、パレスチナの国を造っていくというそういう方向に向けた動きにアメリカが力を注いでいく必要があると思います。これをやらない為に、中東におけるアメリカの信頼は回復していかないと思います。従いまして、イラクの再建の問題、うまく民主的な国家として再建できるかどうか、2番目にそのイラクの再建が仮にうまくいった場合、イラクの民主化というものが中東の世界全体に対する民主化にたいしてどういう影響を及ぼすかということ、同時にイスラエルとパレスチナの問題についてアメリカが真剣に取り組み、将来のパレスチナ国家の建設に向けて2025年までにできるかどうか、その建設に向けて努力できるかどうか、という3つの要素というのがうまく絡み合えば、歯車は良い方向に向かっていくと思います。
 有難うございます。

 

梶原 景博 国土交通省近畿運輸局長

 

皆さまこんにちは。国土交通省近畿運輸局長の梶原でございます。ご出席の皆様方には色々国土交通省の行政につきまして、何かとご理解、ご協力を賜っておりますことをこの場をお借りしまして厚くお礼申し上げます。いま中山先生からお話がありましたけれども、私から主に観光について、特に国際観光の動向とその取り組みについてお話を申し上げたいと思います。

テレビをつけますと、至るチャンネルで旅行番組をやっております。旅、旅行、我々にとって大きな楽しみでございますし、又家族と一緒に旅行をするといったようなことは家族の絆を強めるというようなこともございます。テレビのコマーシャルで「物より思い出」というコマーシャルがございましたけれども、こういう時代、観光の役割は大変重要なものになってくるという風にも思います。又国際観光について見ますと、草の根レベルでの国民同士の交流相互理解を通じて世界平和にも大きな意味を持つものでございます。観光・旅行このように色んな意義がございますけれども、最近観光が色んな場で注目が集めておりますのが、観光の経済的な側面、経済的な効果に着目をされていることと存じます。

我国の国内における観光の消費額、売上額は206000億円、約21兆円ほどでございます。このうち付加価値分といたしましては、104000億円程度で我国の自動車産業とほぼ同じような規模でございます。雇用者は181万人ということでございます。これは一番大きい雇用セクターである金融保険、そこまではいたりませんけれども、ほぼそれに次ぐような規模の雇用者が観光分野で働いているわけでございます。経済の波及効果も入れますと、約49兆円、雇用者としては約400万人弱というような規模になっております。このように観光は我国の国内経済に大きな役割、貢献を致しているわけでございます。関西におきましてもそういう意味では同じような経済規模、役割を果たしております。あまりデータはないのですけれども、大阪市内における観光旅行の消費額、年間総額で11000億円〜2000億円ともいわれております。大阪市内の11のデパートの売り上げ全体でも一兆円には満たないということでございますから、いかに観光分野で大きな金が落ちているかとお分かりいただけるかと思います。ただ、まだまだ国際的に見ますと小さくございまして、世界平均で見ますと生産高の約一割が観光分野で生み出される、又雇用者もその一割が観光分野で働いているというようなことがいわれております。そういうことからすれば、観光これからまだまだ伸びる21世紀のリーディング産業という風にも言われているところでございます。小泉総理もこの観光の経済的な効果に着目をされておりまして、日本再生の一つの政策として、観光の振興に政府を挙げて取り組むということをいわれております。

その中でも日本を訪れる外国人旅行者は、現在500万人程度おるわけでございますけど、2010年には倍増目標にするということを宣言されているわけでございます。そこで我国の国際観光の状況でございます。日本から世界、海外に行かれる方は1622万人ほどでございます。一方世界から日本に来て頂いている外国人旅行者の方が、477万人いますけれど、世界の中で国際観光客を一番集めているのはフランスでございます。750万人ほどが毎年毎年フランスに観光で訪れているというわけでございます。日本は先進8カ国の中でも外国のお客さんを受け入れる人数が一番下でございますし、又アジアの中でも中国や香港はもとより韓国やインドネシアにも遅れをとっているので、世界の中では35位ということであります。このような国際観光の状況でございますので、観光分野での国際収支は約35000億円の赤字ということにもなっておるわけです。国際交流相互理解を促進するという観点でも外国の方にもまだまだ我国を訪れていただきたいということですし、又こういう国際的な観光収支、赤字を縮小するという意味でも、又我国の経済振興という意味でも外国の方にもっともっと我国を訪れてもらうということが必要であろうと思っております。

この格差をできるだけ早期に是正したいと思っているわけでございます。それではそんなことが果たして出来るのかということでございます。これは世界観光機関、マドリッドに本部がある観光についての唯一の世界機関でございますけれど、これが将来の見通しを立てております。2020年世界全体で15.6億人、これが国際観光を楽しむという推計をしております。5.7億人が2.7倍増えて15.6億人ということでございますが、特にアジア太平洋地域では0.8億人が5倍増えて4億人ほど2020年では国際の観光客が来るということでございます。こういうことからよく21世紀はアジアで観光ビックバンが起こるということも言われているわけでございます。本当にこんなにアジアで増えるのかということなのですけれども、よく国民の所得が約一万ドルを超えると海外旅行、国際観光に出かける人が増えてくるということが言われております。先ほど中山先生のお話の中にもありましたが、韓国は1人あたりのGDP既に9,000ドルくらいになっておりますし、台湾は1万ドルを超えるという様な状況にもなっております。中国は先ほど数字がありましたけれども1人あたり平均するとまだまだ小さくて900ドル程度ということでありますけれども、上海を始めとする広東省、沿海部におきましてはもっともっと高いレベルでございますし、今後2020年までの間には13億人という人口の中に1万ドルを超える部分が相当増えてくるのではないかと私どもは思っております。ちなみに我国におきましても、30年前1970年に海外に旅行に出かけた人はわずか66万人でございます。これが10年後の1980年には400万人にも膨れ上がっております。現在が165060万人ということで、この国際観光客増加ということは今後アジア関係を中心に爆発的に増えてくるのじゃないかと、この世界観光機関の見通し、これは私どもにとっても特におかしな推計、推測ではないと思っております。こういうアジア関係で増えてくる国際の観光客をそれぞれアジアの国々にも争奪する「是非うちのほうにも来てくれ」という争奪合戦がもう始まっているというような状況がございます。

次に我国における観光政策、課題でございます。国際的な観光客をどうやってもってくるかというのは、後ほどお話したいと思います。国内の観光旅行も大いに振興していかなければいけないということでございます。先だって扇大臣が漫才の大助花子さんをゆとり休暇の促進をする大使に任命いたしまして、漫才を通じて休暇をもっととってもらう、そういうような呼びかけをしてもらっております。我国における働いている人の有給休暇というのは大体平均しまして18日ほどあるってことなのですが、実際に使っているのは半分位しか使っていないということでございます。もう少し休みを取っていただいて観光旅行に出かけて頂く、それは我国の経済の振興にもおおいに役立つのではないかという風にも思っております。

次に、外国の方に日本に来ていただくそのための対応戦略どういうように取り組んでいくのかということでございます。まず目標としては2007年までに年間800万人まで増やしていきたい、行く行くは2010年に1000万人まで増やしたいという目標を立てております。そのための戦略として、箱を4つほど上げておりますけれども、まず第一番目の外国人旅行者の方に促進戦略、外国の方に来てもらう為のキャンペーン活動、プロモーション活動、これに一生懸命取り組んでいこうということでございます。ビジットジャパンキャンペーンというキャンペーン活動をやっていこうということでありますけれども、この15年度の予算でこのビジットジャパンキャンペーンの事業費20億円始めて大きな額が付いたということで、こういう予算を活用してキャンペーン活動を一生懸命取り組んでいきたいと思っております。又促進の為の1つの課題として、ビザですね、査証の取得、これをもう少し取得しやすいような取り組みができないかということで色んな検討を関係の部署にお願いをしているところであります。特に中国関係、ビザがなかなか取れない、よっぽどお金を持っていないとビザが取れないというようなこと、又観光ビザを出しているところが、上海とか広東省とか北京とか非常に限られた地域でしか観光ビザを出しておりまでんので、そういうことについてもう少し色々考えていく必要があるのではないかという風にも思っております。それから戦略の第3ですけども、外国人の観光旅行者の受け入れ戦略、折角日本に来て頂く外国の方に日本の観光を楽しんでもらうための色々なもてなし、ソフト面での対応など一生懸命取り組んでいく必要があるのではないかということでございます。国際空港の整備ということもちろんですし、又関西旅する時には列を作ってしまうと、時間がかかってしまうというようなこともあるものですから、そういうことも円滑にいくような取り組みが是非必要であろうと思っております。観光産業としても色んな取り組みをしていかなければいけないであろうと思っております。外国人向けのツアー、こういうことについてもメニューを充実し、色んな楽しみ方が出来るそういうツアーを組み立てていく努力も必要であると思っておます。戦略として推進戦略4番目に、官民が一緒になり国と地方自治体が一緒になって、外国人の方に来て頂く様にする取り組みをしていこうと思います。ビジットジャパンキャンペーンの展開例、扇大臣の写真も使っておりますけれども、大臣にもご活躍いただきまして、外国のテレビ又マスコミ等で日本に来てもらうような呼びかけを考えております。又外国における商談会の開催とか、外国において日本を紹介するようなメディアを使った発表、そういう事もしていくことにしておりますし、又外国の旅行会社エージェントの方に日本に来てもらって日本の良い所、素晴らしい観光スポットをご案内してツアーを組んでもらう、そこに外国の方を送り込んでもらうという取り組み、ファームトリップと呼んでおりますが、そういう取り組みもこれから一生懸命していきたいということでございます。ちなみに、ブッシュ大統領のお父さん、元のアメリカ大統領ですけれども、お父さんも観光振興ということで、テレビで世界の方に呼びかけたということもございます。小泉総理にも考えてもらいたいなーと思っておるところでございます。

では、関西としてどういうような取り組みをこれからしていけば良いのかということでございます。まずターゲットですけれど、これから急激な増加が予想される東アジア、これをターゲットに取り組んでいくことが重要に思っております。関西はアジアの諸国と非常に距離的にも近いわけでございますし、又歴史的にも、現在の経済的にも深い結びつきがございます。そういうことから現在でも多くのアジアの方が関西に訪れていますし、又関西は我国の中でも豊富な文化財、国宝等がございます。又豊かな自然なり温泉さらには都市の魅力、買い物とかそういう魅力もございますし、USJのテーマパークなどもあるわけです、こういう物を活用して、世界の方に関西に訪れてもらうそういう取り組み、強化をしていきたいと思っております。関西観光産業振興フォーラムというものでございますけれど、関西の経済界それから自治体、観光産業を、これを全てフォーラムした委員会で今年の3月に2つのことを決議いただいております。まず東アジアからの観光客をターゲットにどういうことの取り組みをするかということですが、まず1つは関西一体となった推進体制、外国の方に来ていただくプロモーション・PR活動これを関西一体となって推進をしていく体制を15年の内に作っていこうということでございます。関西には色々な観光地、観光スポットがございます。それぞれ、海外の観光振興に取組んで頂いていますけれども、外国からくるお客さんは単に京都だけではなくて、京都と大阪なり、京都と和歌山なり、いくつかの所を回るということが多くございまして、関西全体として観光魅力を世界にアピールしていこうという取り組みが出来る体制を整えていこうということが第一点目でございます。

2点目は折角関西に来て頂いたお客さんにもっと楽しんでもらおうということで、関西のホスピタリティ、もてなしをもっともっと交流していこうということでございます。その中には例えば、案内標識とか地図とか色々ハート面でまだまだ工夫をしていくこと多くございますし、もう1つソフト面で、人の対応、人の接遇という面で取り組んでいく必要があるわけでございます。特に人の面では、なかなか一朝一夕にはできませんので少し長時間じっくり腰を据えて外国の方におもてなしをするそういう様な雰囲気作りを取り組んでいきたいと思っております。まずは、空港とかホテルとか又は旅行案内所とか直接外国の方と触れ合う、そういう所で働く人のおもてなしの心を高めていく必要があるわけですが、それからさらに回りに広げて、周りの一般の市民にまでそういう輪を広げていきたいと思っておるところです。特に通りがかりの人から観光関係を親切に教えてもらうとかそういうことが大変印象に残るわけでございますので、市民レベルまでそういう輪を広げていきたいと思っているところでございます。諸外国の人に色々なアンケート調査を致しましたところ、関西のホスピタリティ全般につきまして、英語をしゃべる方などなかなか良い評判をしていただいております。ハングルなり中国語をしゃべる方、良い評価をしていただいているのですけれど、英語圏の人よりも少し厳しめのご指摘がございます。どういう場面で少し厳しくなるかというと、特にお土産物を売るような所、そういう場面でもう少しホスピタリティ、おもてなしという観点での対応、接遇そういうものが必要ではないのかという風に思っているところです。それから一般市民とのふれ合いはどうでしたかと聞くと、実際ふれあった方々は大変素晴らしい、色々忙しい中案内してくれたと評価高いわけですけれど、問題として出てきておりますのがやはり言葉の問題であります。これはなかなか英語が通じないとご指摘いただいております。特に英語圏の人だけじゃなくて中国方とか韓国の方とかも同様に英語はなかなか通じないと言っておられまして、このあたりもじっくり取り組んでいく課題であろうと思っております。このような取り組みを関西でもしていきたいと思っておりますけれども、国土交通省全体としては、2003年を元年として先ほどのビジットジャパンキャンペーンを始め色々な取り組みを進めていきたいと思っているところであります。ただ我国全体を底上げしていくところですけれど、どっかがやって行かなければならないということです。そういう意味ではここ関西は先ほどお話したように東アジアとの歴史的な縁も深いですし、又観光魅力としても富んだ所でございます。又関西国際空港という立派な国際空港もあるわけでございまして、観光立国の推進というものをまず関西から初めたいという風にも思っているところでございます。

ロータリークラブにおきましても来年の5月に国際ロータリーの会合を関西で開いていただけるということをお伺い致しております。皆さま方の色々な取り組みが我国全体の観光を底上げしていくこととなろうかと思いますので引き続いて皆様方のご理解、ご協力をお願い致しまして私のご説明と致します。どうも有り難うございました。

 

保住 正保 経済産業省資源エネルギー庁企画官

 

資源エネルギー庁の保住といいます。エネルギーの総合政策の企画立案を担当しております。ここ当地泉州でございますが深喜毛織さん始め、エネルギー問題への取り組みでも極めて先進的な地域であると承知しております。本日エネルギー政策について日頃から関心が高い皆様方を前にお話できる機会を頂きまして、まずは感謝申しあげます。

最近のエネルギー対策をめぐる状況でございますが、東京で停電危機など大変厳しいものがありますが、本日はこういう機会を頂ましたので幅広いエネルギー政策の内、主に地球環境問題を中心に中長期的な課題について、皆様とご一緒に考えていきたいと思います。先ほど中山先生のご講演にもありましたが、20世紀は人口が爆発した世紀でありまして、21世紀もそのトレンドは続きます。2003年の世界の人口が63億人、内途上国には51億人おりますが、2030年にはこれが83億人になります。大体14年〜15年で10億人ずつ増えていくというペースで世界の人口は増えておりまして、これに伴いまして世界のエネルギーに対する需要はこの30年間に66%も増加していく傾向にあります。160ℓの樽を1バレルと呼んでおりますが、我国は一日にこの樽で500万本の原油を輸入消費しております。国民1人に当たりにしますと、4ℓ、一日4人家族で16ℓの原油を消費しております。中国ですが、自動車の普及から石油の消費が増えております。今年中に中国の国内の石油消費は日本の石油消費を上回るという風に予測されております。中国は産油国でもありますが、輸入量を見ますと遅くとも2020年までには日本の輸入量を上回ります。世界第2位の原油輸入国の地位が置き換わるということでございます。発電所、石油精製所で燃料として導入されます鉱物資源を一次エネルギーと呼んでおります。30年後においても、世界のエネルギー供給において石油と石炭が引き続き支配的な地位を占めます。同じ化石のようですけれども、より環境に対してクリーンな天然ガスの割合が増大をしていきます。風力、太陽光などの資源エネルギーでございますが各国でも一生懸命やっておりますけれども、いかんせん分母のエネルギー総供給が同じように大幅に増加することから、シェアで見ますとわずか1%の増加に伴います。

それでは世界の鉱物資源は後どれだけもつのでしょうか。石油40年、この数字は実は30年前もこの数字であったわけですが、これは採掘技術の向上などによりまして、実際に採掘化の資源量が増加してきたのでございます。しかしながら、今後を展望しますと中東地域以外の油田というのは、老朽化が進みつつございます。先ほどイギリスの例が先生から示されましたが、北海油田を要しておりますイギリスというのは、輸出入相殺するとネットで準輸出国になっています。このイギリスもネットで輸入国に転落する動きになっております。アメリカも同様でございまして、国内油田はかなり老朽化が進んでおりまして1980年代後半から国内原油の生産量は低下傾向にございます。石油の輸入量は需要の増加に伴いまして今後大幅に増加すると見込まれております。原油価格が$30とか$40であればこれに伴って技術開発とか進みまして、技術的な増産は可能ですが、この価格水準は果たして世界経済にとってできるかどうかがポイントになります。いずれにしましても50年、100年単位、こういう単位で将来を展望しました場合には、世界のエネルギーが必要としますし化石燃料というにはいずれ枯渇する燃料であるということを再認識する必要がございます。

地球温暖化問題でございまして、将来のエネルギー政策を語る上で地球環境問題は避けることができません。我々が住んでいる地球でございますが、この地球の平均気温は15度でございます。地球温暖化現象はこの大気中の二酸化炭素などのガスの濃度が高まることによって、温室としての地球の温度が高まる、温室効果が高まるという現象でございます。そうすると、大気中の二酸化炭素の濃度が5%になります。この5%というのは人間の致死量です。気候変動に関する国際的な調査によると100年後の2100年には地球の気温が1.45.8度の間で上昇し、海水面が988cm上昇するというふうに予測しております。同じペースで数百年間水面の上昇が続くということでございます。

我国のエネルギー情勢について触れたいと思います。供給動向をまとめたものですが、我国で純粋に国産している資源は、水力発電の4%だけです。食料自給率40%とありますが、エネルギーの自給率は4%だけであります。原子力でありますが、一応燃料としますと3年間燃え続けまして、この原子力を含めても20%に止まります。アメリカですが、石油供給の6割を外国に依存していますが、経済的に関係の深い中南米からの輸入が多く、意外にも中東からの石油依存度というのは抑制をしております。買うのですけどアメリカに持ってこないということですね、ここがポイントです。2001年の同時多発テロ事件以降から、アメリカ政府は特にエネルギーの安定供給というものを重視しております。部門別に見たエネルギー消費の内訳でして、産業部門は大体横ばいで安定しております。一般家庭、オフィス、病院、レストランは民生部門と呼んでおります。民生部門とかのエネルギー消費は増加傾向を示しております。家庭、より快適な暮らしを求めるという消費者と、それを提供するメイカーさんとの努力がありまして、家庭における電力消費量が増加をしております。業務部門のオフィスとかですね、延べ床面積が増加し、さらにはOA化が進みましてこれによって顕著な伸びが続いております。自動車の運輸部門のエネルギー消費ですが19901998年まで約23%増加しておりまして、その増加分の80%は自家用乗用車が占めております。自家用乗用車のエネルギー増加を分析したものでして、主に保有台数の増加と、ミニバンですとかいう車体重量の重い燃費の悪い車が足を引っ張っております。

我国の場合は温暖化効果、温室効果を有するガスの9割がエネルギーの消費に伴って発生する二酸化炭素になっております。98年と2001年が大きく減少しているのが分かりますが、これは景気低迷によりまして、製造量の生産数量が大きく減少したことによるものでございます。京都議定書に基づく政府のエネルギー二酸化炭素の抑制目標というのは、2010年度で1990年度水準まで排出を抑制するというものでありまして、2001年度の排出量はそれから比べますと約6.3%増の水準にございます。 エアコン、この9年間にエアコン使用量に伴う電力量というのは63%増加しております。省エネについて機器事態は改善しておるのですが、我々がより長い時間使うとかより多くの部屋でエアコンを使うという暮らし方の変化によって、電力消費が増加しております。週末の日をドライブするサンデードライバーが大体一ヶ月に排出する二酸化炭素の排出量と、標準的な家庭の電力消費量、これらは発電に伴い発生する二酸化炭素の量とほぼ等しいものとなっております。皆さんの家庭では、節電に一生懸命頑張っておられると思うのですが、二酸化炭素からの世界から見ると意外にもサンデードライバーの方が大きいということをご認識していただければと思います。

機械エネルギーの地位が石炭から石油というふうにシフトしていく中で、原油価格が乱降下しているのが分かるかと思います。これをふまえまして、石油の安定供給というのが1つの柱になってきております。石油の備蓄あるいは石油発電から原子力発電への内容転換、省エネなどを進めております。

原子力について述べたいと思います。石油危機以降における代替燃料への切り替え、石油代替政策というのは原子力が特に発電分野で中心的な役割をしてきました。2001年度はわずか8%まで低下してきておりまして、電力分野では少なくとも脱石油、脱中東はかなり進んできております。関西電力でみますと皆さんこの部屋の半分の電気が48 は原子力から発電されているものです。仮に日本の全ての原子力発電所がなくなったとします。代わりに石油でたき増しをするという風に仮定します。この場合、日本の石油消費量は現在よりも3割、30%も増加いたします。世界でみますと、世界の原子力発電所がなくなったとした場合、サウジアラビアが一日に生産する原油の1.5倍これだけの量の原油を毎日原子力が代替していたという効果がございます。次に新エネルギーですが、大きな柱の一つですがエネルギーの供給全体でいいますと、構成率わずか1% にしか過ぎません。RPSと呼びますけども、今年の4月1日からは電力会社に供給量の一定割合を、新エネルギーの発電にするように、義務づけております。期待の高まる新エネですけれども、新エネが将来原子力のポジションをリプレイする、代替するということは事実上ございません。エネルギー密度と呼んでおりますけれども、一定量をエネルギーを供給するために必要な土地の面積で比較してみます。原子力発電所一基あたりに相当する電気を発電するためには太陽光で電線の内側面積と同じ面積が必要になります。風力はその3.5倍の面積が必要です。当然ながら太陽光発電というのは使えません。

ちょっと夢のある話をしたいと思います。エネルギーの安定供給と温暖化ガスの配置抑制2つの課題を同時に対応することが可能な技術として、水素を使った燃料電池というのが着目されております。アメリカ政府が発見した予測値でありまして、2020年までに運輸部門で消費する石油を手当てするために必要な輸入量を推定したものでございます。ハイブリッド自動車など既存の車種の燃費改善に加えまして将来的には燃料電池自動車の導入を見込むということで、石油の輸入量を抑制するというシナリオを発表しております。今年の1月ですが、アメリカ政府は2040年までの見通しを発表しました。燃料電池自動車の普及によりまして、いまアメリカの輸入している原油とほぼ同じ原油1日1100万バレルの需要があるんですがそれと同じ量だけ、燃料電池自動車で削減がされる。年間5億トンの二酸化炭素が削減される。この5億トンというのは日本のトータルの二酸化炭素排出量の約半分に相当するものです。

我国の政府目標です。ご案内の通り世界の大手自動車会社というのは燃料電池自動車の技術開発に社員をかけてやっております。それはひとえに燃料電池の持つ潜在的な世界市場の持つ大きさによるものです。燃料電池は水素を使った一種の発電装置です。しかしながらその水素をどのような資源から製造するか、製造した水素をどのようなネットワークにして、運搬貯蔵供給するか、経済性を確保するかなどの大変解決する課題は少なくありません。しかしながら言えますのが、日・米・EU・政府・民間・研究者全て上げてこの燃料電池の技術開発や水素を2次エネルギーとした経済社会システムの構築に向け挑戦するというのは確実であります。水素社会の構築はそれだけ挑戦する価値のある課題であると考えてはおります。駆け足の説明となっておりましたが、ご清聴どうもありがとうございました。